フォトグラファーインタビューVol.11 アラキナゴミ

2016.06.20
インタビュー
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写真で“心を整える”活動をしていきたい

ピンクと黄色と青の絶妙なバランスと、独特の淡い色彩写真が印象的なアラキナゴミさん。「普通」の中にある愛おしさを切り取って、そっとそばに置いておきたくなる写真を生み出しています。現在の作風が生まれるまでに歩んできたアラキさんのキャリアと、写真に込めた思いをお話しいただきました。

 

IMG_6444 のコピー

Photographer : アラキナゴミ

http://nagomi.photo/

東京都町田市在住。早稲田大学政治経済学部卒。

メーカー勤務、ECサイト運営、接客業などを経験。写真と犬、地元と本と美味しい食べ物をこよなく愛する。

『ナゴミフォト写真教室』を運営。また、東京都町田市、神奈川県相模原市を中心に写真教室を開催。

 

深い喪失の中で見つけた美しいカメラの世界

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 "girly_pink" SHOT JAPAN GALLERY

私、実はちょっと変わった経歴を持っているんです。大学を出た後はOLとして働き、結婚して専業主婦をしていました。しばらくして、夫と一緒に会社を立ちあげて2人で経営を始めることに。それがすごくおもしろくてやりがいがある仕事で、10年くらい一生懸命必死に働きました。そしたら、過労で治療法が見つからない難病にかかってしまったんです。容体が悪くなって長期入院したり、命の危機に瀕するくらい重くなってしまって……。とてもじゃないけれど経営ができる状態ではなかったので、その仕事を退きました。

 

会社を立ち上げるというのは、私にとっては子どもを産んだような感覚でした。それがなくなってしまったような気持ちで、どうしていいかわからなくなりました。それまで24時間仕事のことを考えていたのが一転、世界が白黒になっちゃったんですね。私、これからどうしようって。その時にふと、写真を撮ることを思いついたんです。

 

仕事の関係で一眼レフを持っていたので、飼っていた犬を撮り始めました。そうしたら、生きがいがなくなってしまったと思っていた世界が、カメラを通してすごくきれいに見えたんです。雑草ってなんてきれいなんだろう、私の知らなかったところに美しいものがたくさんあるということに気づきました。カメラを通して、私の中に色が戻ってきたという経験をしたんです。

 

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 "sakura blossom ~others~" SHOT JAPAN GALLERY

 

そこから、カメラって楽しい、一生懸命やってみたいと思うようになりました。地元の写真教室に通うようになり、縁があって講師の方にカメラ講師を勧められたことで、本腰を入れてカメラの勉強を始めました。

 

技術よりも自分の感情を伝えることが大事

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 "amarcord ~spring~" SHOT JAPAN GALLERY

 

今は、NHK文化センターの町田教室でクラスを持たせていただいているのと、神奈川県内でカルチャースクールのクラスを持っています。※秋からは都内でも講座が始まる予定です。レッスンについてはナゴミフォト写真教室のサイトに詳細を掲載しています。

あとは自宅で個人レッスンをしたりと、自分のペースでできる範囲で活動しています。

 

私の写真を見てくださる人は、「力が抜ける」とか「癒される」と言ってくださる方が多いですね。自分の中では、リハビリのような感覚で写真を始めました。つらい経験の余韻がまだ心の中にあるので、撮ることで自分が救われている。だから、そういったことが見てくださる方に伝わっているのかなと思います。自分自身がカメラを撮ることで救われてきたので、生徒さんに教える際には、技術ももちろんですが、自分の感情を伝えることの大切さも教えています。

 

気づいたらそばにいて、心が落ち着くような写真を撮り続けたい

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 "sakura blossom ~others~" SHOT JAPAN GALLERY

 

SHOT JAPANのギャラリー内には、おととしから去年にかけての作品を掲載しています。家から5分という範囲をテーマに、毎日犬の散歩時に撮りました。気に入っているのは、「sakura blossom 2015」シリーズの前3枚の作品。実はこの直前に愛犬が亡くなって、1人で桜を撮りに行ったんです。不思議なことに何をしても写真の色が沈んでしまって……。だったらこの気持ちのままに撮ってみようと思って撮ったものです。自分にとってはセラピーに近い感じでしょうか。

 

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 "amarcord ~summer~" SHOT JAPAN GALLERY

私の作品は強い主張がないので、「ちょっと部屋に風が通ったな」とか、「深呼吸したら気持ちよかった」という感じで置いてもらえる写真であればいいなと思っています。気づいたらずっとそばにあって、ふと見た時に気持ちが楽になる。私の作品でそんな気持ちになってもらえたら嬉しいですし、カメラ教室に通っている生徒さんが自分で撮った作品でそうなれたら、なおいいなと思います。写真を撮って心を開放させて、撮ったものを見てもう一度その気持ちになるというようなことを人に伝えていく。そんな写真で“心を整える”活動をしていきたいなと思っています。

 

熊本の美しい水中写真に注目

 

SHOT JAPANのギャラリー内では、魚の写真を集めた中野誠志さんの作品が気になりました。熊本を拠点に活動されているとのことで、熊本にこんなに美しく豊かな海があるんだと驚きました。きれいな魚の群れや、2匹のウツボが向き合っている写真なんかはすごくかわいいですよね。どんな風に写真を撮っているのか、ぜひお話を聞いてみたいです。

 

 

 

インタビュー 島原

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