フォトグラファーインタビューVol.13 高縄奈々

2016.07.25
インタビュー
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”別世界”を切り取る水中写真家

 

青く輝く海、愛らしい表情を見せる野生のイルカたち――。東京の御蔵島を中心に水中写真を撮影している高縄奈々さんは、ドルフィンスイムガイドの傍ら、独学で水中写真を撮影してきました。海の魅力を最もよく知る高縄さんに、水中写真の魅力についてお話しいただきました。

 

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Photographer : 高縄奈々(たかなわ なな)

www.aduncus.com

水中写真家/水中ビデオグラファー
19歳の時に東京都の御蔵島で野生イルカの調査員として水中撮影を開始。
その後ドルフィンスイムのガイドをする傍ら、独学で水中や島の風景撮影を継続。
現在は愛知県に在住し、テレビ、映画、雑誌などに水中映像の提供をしている。

 

水中写真の世界は、一瞬が勝負

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 "Tokyo Islands  御蔵島" SHOT JAPAN GALLERY

 

現在は、水中写真の仕事をメインに活動しています。もともとは、野生のイルカと泳ぐドルフィンスイムというプログラムのガイドを約14年間やっていました。ガイドを始めた当初は、野生のイルカを調査するボランティアの撮影隊として、ビデオカメラを担当しました。転機となったのは、2008年に調査で南アフリカに行った時。そこで初めてデジタル一眼レフを持ちました。一瞬を切り取る写真っておもしろいなと思い、そこから水中で静止画を撮り始めました。それからずっと、ガイドと並行して水中写真を独学で撮ってきました。

 

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 "Tokyo Islands  御蔵島" SHOT JAPAN GALLERY

 

去年の11月に引退してからは、水中写真家/水中ビデオグラファー1本でやっています。 ビデオとカメラは撮り方がまったく別物ですね。ビデオは一連の流れをずっと撮っていないといけないので、まさに体力勝負。水中では三脚を使わないので、揺れない画像にするのがけっこう大変です。反対に写真は一瞬が勝負。野生のイルカを相手にしているので、思うように撮れることのほうが少ないですし、いい瞬間をひたすら待ち続けるしかありません。

 

イルカ写真のポイントは、先回りして待ち受ける

 

野生のイルカやクジラを収めた『Tokyo Islands』という作品は、全て東京の島で撮ったものです。私が考える水中写真、特にイルカの写真を撮る時のポイントは2つあります。1つは、写真のスキルよりも、イルカのことをどれだけ理解しているか。もうひとつは、水中でどれだけ自由自在に自分が動き回れるか。

 

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 "Tokyo Islands  御蔵島" SHOT JAPAN GALLERY

 

イルカたちがどういう行動状態にいるのかを理解して、次はこう動きそうだなと予測し、先に動きつつ構図を考えてシャッターチャンスを待ちます。順光と逆光でも写真の雰囲気は変わりますし、ストロボ禁止なので人工の光を一切使わず、太陽の位置を計算しながら撮っています。イルカの機嫌と天気、水の透明度、すべてがそろうことはなかなかないので、運に左右されることが多いですが、いかに予測して先回りして動くかが大事です。とは言っても、思い切り裏切られることもたくさんあるんですけどね(笑)。

 

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"Tokyo Islands  利島" SHOT JAPAN GALLERY

 

SHOT JAPANのギャラリーに載せている写真の中には、そういった計算をしてばっちり撮れたものも収められています。中でも、島影が見えて太陽がでてきた瞬間に頭上を泳ぐイルカを捉えた写真は気に入っています。この写真は早朝の強い太陽光がとても綺麗だったので、イルカの群れがくる直前から海底に潜って待っていたんです。運よく私の真上を通ったので、2メートル近くまで来たところをフィッシュアイで撮りました。

 

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"Tokyo Islands  小笠原諸島" SHOT JAPAN GALLERY

 

水中写真の魅力は、普段人間が暮らしていない別世界を切り取れることだと思います。私がフィールドにしている御蔵島では、東京からすぐの島にも関わらず、野生のイルカやクジラがすぐそばで見られます。東京にこんな美しい海と野生動物がいることを、水中写真で伝えていければいいですね。また、撮ることももちろんですが、泳ぐことが好きなので、水中の気持ちよさを伝えたいです。クジラとかイルカがいなくても、きれいな海で浮いているだけですごく気持ちがいいんですよ。

 

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"Tokyo Islands  小笠原諸島" SHOT JAPAN GALLERY

人とイルカの交流写真を撮りたい

 

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7月24日に電子書籍の写真集『Dolphin Eyes -あるイルカの島の物語』を刊行しました。これはイルカがメインの水中写真になっています。今まではイルカ単体の写真が多かったのですが、今後は人とイルカをメインに撮っていきたいと思っています。人とイルカが交流したり、一緒に泳いでいる瞬間の写真を撮るツアーも企画中です。あとは最近、馬が好きなんです。大きくて、哺乳類で、ひょっとしたら人間と心が通じ合えるような感じがイルカと似ているからでしょうか、同じ惹かれ方をします。別ジャンルで撮り方も違うだろうけれど、馬の写真を撮ってみたいです。

 

神秘的な馬の写真に惹かれます

 

SHOT JAPANギャラリーの中でも、やはり動物を撮っているフォトグラファーさんの写真につい目がいってしまいますね。特に、馬の写真を撮っている橋本タカキさんの野生的な作品に惹かれました。神秘的な雰囲気がすごく心に残りました。

 

インタビュー : SHOT JAPAN 小須田

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