PRINT NOTE #02 積層

PRINT NOTE #02 積層

FLATLABOがお送りする、UVプリントに役立つヒントをまとめたPRINT NOTE。
第2回目のテーマは「積層」です。

目次
UV積層プリントとは?
3パターンの濃度で比較してみる
積層データの作り方
まとめ

積層プリントとは?

積層プリントとは、UVの特性を活かしたインクを盛り上げるプリント手法のことです。

UVインクは硬化する特性を持つため、インクの層をいくつも積み重ねることが可能になります。
その特性を活かし、凹凸のあるマチエールをインクのみで表現することができるのです。

このインクの盛り上げにより、作品のグラデーションを活かした凹凸や、細かなディテールを表現したオリジナルのテクスチャーが加わることで通常のフラットなプリントが表情豊かになります。

積層プリントは、カラーをプリントする前に、粘度の高いホワイトインクで盛り上げを行います。
一層分の濃度が100%になりますので、例えば3層分のインクなら300%、9層分なら900%、18層分は1800%というような濃度設定になります。

弊社ではその濃度のことを、「積層濃度」と呼んでいます。

3パターンの濃度で比較してみる

積層濃度の違いによって、凹凸・立体感の強さ・印象が変わります。
今回は3種類の濃度別サンプルを用意し、モノクロデータでわかりやすく比較をしてみました。


まずは300%の濃度のプリントです。

右側の線画やグラデーション部分は影が出ていることで、立体感がうっすらと出ています。
ですがグラフィック部分のテクスチャー感はまだフラットな印象に見えます。
ごく微量に、テクスチャーをつけたい場合や小作品などに適した積層濃度になります。


つぎに900%の濃度のプリントです。

一気に立体的になり、グラフィック部分の凹凸も視覚的にもはっきりと分かるようになりました。
900%は強い光を当てなくても立体感がわかりやすく凹凸感も自然な印象になるので、作品全体の立体感を上げたり、強調を強めたい箇所などに大変適した濃度になります。中サイズの作品向きです。


最後に1800%の濃度のプリントです。

かなりの立体感が出ています。
黒ベタに白く抜いた部分などの凹みや、グラデーション箇所の凹凸感も他の濃度に比べて非常にわかりやすくなっています。

全体的に絵がせり出しているような見え方になるので、
凸と凹の差を強く出したい場合や、全体の立体感をぐっと上げたい場合などに適しています。

積層プリントの視覚的印象は相対的なものになります。
つまり、同じ濃度でも小サイズより大判サイズの厚みの方が薄い印象になってしまうので、F100号などの大きいサイズのものは1800%ほどあると立体感が損なわれません。(サンプルは247*420mm=A3程度のサイズです。)

※一部ホワイトのみの積層プリントが黄味がかって見える箇所がありますが、これはUV照射によって白インクが黄変することがあるためです。この対策として、弊社では積層の最後に通常濃度のホワイトを重ね、真っ白い表面になるような調整を行なっています。

積層データの作り方

積層データはCMYK,RGBどちらのモードでも作成可能です。
まずデータはカラーデータとは別に新たなレイヤーを用意し、モノクロ化して作成します。

データ上でK100%(またはRGB値が0)になっている範囲が一番インクが乗る部分となります。
そこからK50%、K30%、、と濃度が下がるにつれてインクの濃度も下がっていくので、その構造を意識しながらデータを作っていきます。

例えばこんなデータの場合。
これはK100%からK10%までのグラデーションデータです。

このデータを1800%の濃度でプリントすると、こうなります。

ご覧の通り、K100%の部分に1800%分のインクが乗っています。
(右の濃度と線の部分は、プリント時にはカラーを乗せていません。)

濃度が下がるにつれて少しずつ厚みが減ってき、K10%のデータ部分には僅かな量のインクがプリントされています。

ベタ塗りのデータではなく、ドローイングなどのようなデータの場合にはブラシツールなどを用いることが多いと思いますが、色の濃い部分と薄い部分の濃度を細かくコントロールするのは難しいです。
ですが、このようなグレースケールデータにした際の濃淡とほとんど同じ濃度感でのプリントができるので、絵柄から積層データを作成することも可能なのです。


積層データの作成は、以前紹介した白版データの応用とも言えますので、よろしければこちらの記事も併せてご参考にしてみてください。

まとめ

今回はホワイトインクを用いた積層プリントの解説をお届けしました。
濃度による見え方の印象の違いや効果で、作品の印象は一気に変わります。
作品制作における表現方法のひとつとして、ご参考になれば幸いです。

弊社ではカラーデータから積層データを作成するサービスもオプションで対応可能です。

複雑な構造やデータなどでお困りの場合や、制作に関するご質問がありましたら、
ぜひお問合せからお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちら
※2営業日以内に担当から折り返しのご連絡をお送りいたします。

PRINT NOTEでは今後もUVプリントに役立つ様々なヒントを発信していきますので、ぜひチェックをよろしくお願いします。

テキスト / 撮影 / データ作成 / :プリンティングディレクター 野村恵里子

野村 恵里子/Eriko Nomura

野村 恵里子/Eriko Nomura

プリンティングディレクター

2023年FLATLABO入社。自らグラフィックアーティストとしても活動。プリンティングディレクターとして、デザインや現代美術系の制作に多く携わる。

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