私たちの印刷へのこだわり 2

私たちの印刷へのこだわり 2

みなさま、こんにちは。
FLATLABOプリンティングディレクターの霊山です。

前回に引き続き、今回もプリント用データの制作について、詳しくご紹介していきたいと思います。
今回のテーマは「濃度調整」です。
まだ前回の記事をご覧になっていない方は【私たちの印刷へのこだわり】からお読みいただければ幸いです。

序章

プリントデータを制作する過程において、濃度の調整は最も重要な工程のひとつです。
なぜなら、濃度は作品が持つ「質量」を決定づける大きな要素だからです。

軽やかな印象を与えるもの、重厚さを感じさせるもの――作品によって、その濃度はさまざまです。
FLATLABOでは、作品本来の質量感を正確に再現するために、緻密な濃度調整を行っています。


1章 濃度による印象差について

一例として、濃度の異なる3枚の写真を並べてみました。

同じ写真でも、濃度の違いによって印象が大きく変わります。

1、濃度を薄くしたデータ

2、ノーマルデータ

3、濃度を濃くしたデータ

序章で触れたように、濃度の調整は作品の「質量」を左右する大切な要素です。
同じ写真でも、調整の度合いによってまるで異なる空気感が生まれます。
ノーマルデータに比べ、1は春風が吹き抜けるような爽やかさを、3は嵐の訪れを予感させるような重厚さを感じさせます。
このように、濃度のわずかな変化が作品の質量を揺らし、鑑賞者の受ける印象を大きく変えていきます。

元のデータを尊重しつつ、細部にわたる調整を重ねることで、思い描く作品の質量により近づけています。

2章 トーンカーブで基本の濃度を作る

濃度を整える方法はいくつもありますが、FLATLABOでは「シンプル」「直感的」「スピーディー」であることを大切にしています。
Photoshopのトーンカーブひとつで思い描く質感を作り出せるよう、日々トレーニングを重ねています。

調整では、以下のポイントを中心にトーンカーブを操作しています。

トーンカーブは、上下の端と中間の2点、あわせて4点を基準に調整しています。
ポイントを増やしすぎたり、カーブを極端にすると自然な雰囲気が失われてしまうため、できるだけシンプルな構成を保つよう意識しています。

3章 焼き込みで奥行き感を作る

画家レンブラントは、濃淡の差を巧みに操ることで奥行き感を演出し、「光と影の魔術師」と称されています。
簡単に言えば、手前を濃く、奥を明るくすることで立体感を生み出す技法であり、これは写真プリントにおける「焼き込み」にあたります。
写真プリントでは、この奥行き感が失われやすいため、印刷時に立体感を再現する目的で焼き込みの技法が用いられることもあります。

焼き込みの異なる3枚の写真を並べてみました。

1、ノーマルデータ

2、下をグラデーションで焼き込んだデータ

3、2のデータ+上の空もブラデーションで焼き込んだデータ

手前の部分を濃くし、奥に向かって徐々に薄くすることで、奥行き感を演出できます。
また、3のようにメイン以外の空にもグラデーションで焼き込むことで、メインの存在感をより際立たせることが可能です。


最終章 濃度調整は作品表現の核心

濃度調整は、「質量」を表現し、印刷時に失われがちな立体感を補う役割を果たします。
しかし、この調整を誤ると、全く異なる印象の写真になってしまうため、細心の注意を払って作業しています。

次回は、「色調整」について詳しくご紹介したいと思います。

タグ
UVプリントインクジェットプリンティングディレクター作品写真調整
霊山 玄/Gen Tamayama

霊山 玄/Gen Tamayama

プリンティングディレクター

プロラボにて数多くの著名写真家の銀塩プリントやデジタル出力を担当後、2019年FLATLABO合流。難しい色再現や斬新なディレクション案件を得意とする。

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